パリ、ギャラリー探訪。
復活祭のバカンスが終わる4月末の土曜日。パリのギャラリーの多くで展覧会のオープニングが開催されました。サンジェルマン・デ・プレ地区やマティニョン地区など、パリにはギャラリー街と呼ばれる地区もいろいろあるけれど、現代アートのギャラリーといえば、やはりマレ地区。
アートファンなら、買う気があろうがなかろうが、どんどんギャラリーへ見物に出かける。これがパリ流です。だってギャラリーなら入場は無料。けれど各ギャラリーが誇る、世界の第一線で活躍するアーティストがずらり。街に現代美術館を散りばめたような環境を、フランス人が放っておくはずがありません。
世界に知られるギャラリー・ペロタン。日本の村上隆を扱っていることでも有名で、まさに現代アートファンの必須スポット。ここはいま中国のChen Zhen というアーティストの展覧会を開催中。
この6月にリニューアルオープンするピカソ美術館の近くにあるギャラリー・イヴォン・ランベールは、展示室全体の床をなんと鏡張りに。
展示室に入るには、靴をぬぐか、靴にビニールのカバーをかけます。なるほど。
初日ということもあって、このギャラリーは展示アーティストがプロデュースするパフォーマンスも開催。裸の男女が、これまた大きな鏡を真ん中に、落とさないよう押し合いながら、コンテンポラリーダンスのような動きをとりつづけていきます。さすがはフランス、子供も見ています。
と思えば、別のギャラリーではガラスのような巨大な樹脂でつくったアートオブジェ。重そう。ギャラリーに運び入れるときの苦労は相当のものでしょう。
時には作品を絶賛し、時には作品にがっかりし、アーティストやギャラリーの人間にさえ、その気持ちを口にするパリのアートファン。アートの楽しさのひとつは、それをテーマに意見や感性を別の人と交換しあうことでもあります。「きれい」や「美しい」ばかりがアートの基準でなく、「面白い」「考えされられる」「さわりたくなる」「話したくなる」などなど、いろいろな基準があるとわかれば、フランス人のように現代アートを楽しむのも難しいことではなくなりそうです。